【がん闘病】 ⑤ 話を聞いてよ 

妻ちゃんの病気の事

話を聞いてよ

僕は春に昇進し、少し偉くなった。と共に昼も夜も色々と忙しくなった。

ストレスなのか(苦笑)40肩になり整形外科で首をひっぱたりしてた。せっかく水泳も復活したのに。

 

その頃、妻ちゃんも肩こりがひどい、私も40肩かな?と言って、しょっちゅう肩を回すようになった。僕の40肩が治ってもまだ治らない。

 

僕は気になり、一回がんセンター行こうか?転移とかもあるし、、と言ったけど妻ちゃんは頑なに拒否した。

 

「先生がいいって言ったから、いい!!」

 

6月になっても7月に入っても治らず、痛みも一層増すばかり。

これはがんの影響じゃないとひたすら自分に言い聞かせ、大量に漢方とか薬を取り寄せて飲んだり、按摩にいったりした。この頃から腰にも痛みが出ていた。

 

僕は何とか病院に行かせたくて、何度も一緒に行こうと言ったけど、もう言わないでと怒る。

 

がんセンターに行かないならせめて他の病院に行かせて、そこの先生に「がんセンター行きなさい」と言ってもらうしかなかったが、その誘いにも乗らなかった。

 

ある日、お腹が痛くなって自分で婦人科に行ったところ、尿路感染症だと言われた。

ほーら、がんじゃないでしょと言う妻ちゃんはもう、歩いて2~3分の病院に行くのも精いっぱいだった。

 

7月中旬からは、痛みで最低限しか動けなくなった。僕は仕事の前に朝昼の食事を作り、かえって夕飯を作って、妻ちゃんとTAROと食べた。TAROは幼稚園の終業式を終えて家にいた。

 

夜は肩と腰をずっとさすってあげた。TAROを生むときは難産で、陣痛を抑えるために一晩中妻ちゃんをマッサージしていたのを思い出した。

 

7月の中旬に楽天から色々入った大きな箱が届いた。

「来月には去年手術で行けなかった土井が浜に行って、皆で遊ぶ」と言っていた。

僕にはかっこいいサンダル、妻ちゃんはピンクのパンプス、ネイビーのワンピース、TAROにはTシャツをネットで買っていた。

 

 

それからすこし経って、冷凍食品の介護用弁当が20日分とペットボトルの水が一箱届いた。

妻ちゃんは笑って、そして寂しそうに言った。

「土井が浜、二人で行っておいで」

 

⑥に続く!!

 

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